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《MUMEI》 退院翌日。 私は、予定通り退院することになった。 私が、入院して、丁度一ヶ月が経っていた。 室内の荷物は、貴子ちゃんによって片付けられており、私は朝、パジャマから洋服に着替えていた。 ベッドに腰かけていると、慎君と祐希君が、病室に入ってきた。 「志穂。今日退院だって?」 「う、うん」 最近慎君は、私の兄妹に接触する機会が増えたので、私を名前で呼ぶようになっていた。 私はまだ呼ばれなれないから、その度に赤くなってしまっていた。 それに、時々、慎君は、からかうように、私に触れてくる。 ―それが、恥ずかしくも嬉しくあるのだけれど… あまりすると一緒に見舞いに来る祐希君が嫌な顔をするので、少し困っていた。 「相変わらず慣れないな、志穂ちゃんは」 「うるさいな…」 祐希君は、からかうように、私を『ちゃん』付けで呼ぶようになっていた。 私は、慎君に、『俺達の事も、名前で呼んでよ』言われているが、本人の前では照れがあり、滅多に呼べなかった。 ―その時 コンコンッ 病室の出入口を、大きくノックする音がした。 (この音は…) 秀兄さんだ。 前へ |次へ |
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