|
《MUMEI》 「そうだ、君達に頼みたい事があるんだけど」 「何でしょうか?」 突然秀兄さんが、慎君達に話しかけたので、二人は緊張していた。 何だか私は、嫌な予感がした。 「簡単だよ。俺は今夜仕事なんだ。 だから、警察から戻った志穂の世話を頼みたいんだ」 「「「世話って…」」」 秀兄さん以外の三人の声がハモった。 「あ、もちろん一晩だけだよ。 これ、志穂のマンションの鍵と、入口のオートロックの暗証番号ね。 志穂の荷物は俺が後で持っていくから」 そう言うと、秀兄さんは、有無も言わさず、鍵と、暗証番号の書いてあるメモを慎君に握らせた。 「ちょ、兄さん！」 私は慌てた。 「はいはい。 いいじゃないか、慎はお前の『初恋の君(きみ)』なんだから。 さ、行くぞ」 ！ 『初恋の君』 (慎君、何も知らないのに！) 無言で口をパクパクさせている私を、秀兄さんが、ヒョイとお姫様だっこし、私の荷物も持ち上げた。 そして、 そのまま… 全速力で駆け出した！ 私が最後に見たのは… あまりの急展開に、呆然と病室に立ち尽くしている、慎君と祐希君の姿だった。 前へ |次へ |
|
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |