《MUMEI》










すっかり長湯で風呂を出ると洗濯機の蓋の上にバスタオルが置いてあった。




「このバスタオルいーのか?」




「それ使って!」





なかなか柔軟剤がきいているな。



いや、効きすぎてる…。




てかなかなか水分吸わねー!


…後でどんだけ使ってんだか聞いてみよう。




「あれ?何してんだ?」



「見たら分かるでしょ?お粥炊いてるの!」



クッキングヒーターの上に片手鍋が一つ。




裕斗は丸椅子に座ったままじっと鍋を見つめている。



「わざわざ鍋買ってきたのか?」



「んーん、加藤んち近いから借りてきた、ご飯と玉子も分けて貰ったんだ」



「そう、そうか」




傍に近寄ると確かに米の匂い。
てか換気扇回ってねーから窓に湿気が!



パチンと換気扇のスイッチを入れてやる。



「お粥って何分位で出来るの?」



「とりあえず蓋開けてみれば?」




裕斗が立ち上がって蓋を開けると、うーんなかなか良い感じ。



「もういーだろ、火止めて玉子落として少しほったらかしときゃー丁度良い」




「玉子かー!上手く割れるかなー」




玉子を掴むなり頭にガツガツぶつけている。



「おい!何してんだ?」



「んー加藤が頭で割ると一番簡単に上手く割れるって教えてくれたんだ」



ガツガツ…




「お前やっぱりバカだろ、高校、附属出たの嘘だろ?もー貸せ!」



玉子を奪い取り片手でキッチンの角にぶつけて鍋にさっと落とす。

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