《MUMEI》
退院祝い
私の病室は、廊下の一番端にあったから。

…ものすごく、私達は目立っていた。

途中で、大兄さんや楓さんにもすれ違った気がするが…

秀兄さんが早いから、よくわからなかった。


私達は、あっという間に、病院の玄関に来ていた。

ロータリーに停まっている車から、貴子ちゃんが出てきた。

「後は、任せて」

笑顔の貴子ちゃんに、頷く秀兄さん。

「一体、何の話?」

やっと、お姫様だっこから解放され、秀兄さんの車に乗りながら、私は質問した。

「ん〜」

秀兄さんが、エンジンをかけながら…

「志穂の、退院祝いの話」
と答えた。

私は、意味がよくわからなかった。

(もしかして、…)

以前、貴子ちゃんと龍平さんが準備してると言った事と関係しているのだろうか。

(そう言えば…)

「それって大兄さんの指示?」

私の言葉に、秀兄さんが頷いた。

と言う事は、秀兄さんが言っている『退院祝い』は、大兄さんの指示で、貴子ちゃんと龍平さんが準備していたものと、同じらしい。
私は、嫌な予感がした。

そして、恐る恐る、確認してみた。

「さっき、慎君達に頼んでたのと、関係無い、よね?」

『無い』と、言ってほしい。

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