《MUMEI》 「様子は?」 「いつも通りです。…大人しいもんですよ」 渡辺さんの質問に、刑務所の看守は、小声で答えた。 そして、私達と、渡辺さんは、面会室に通された。 ガラス張りの壁を挟むように、白い机と二つの椅子が置かれている。 私は、そのうちの一つに座った。 秀兄さんは、渡辺さんに言われて、私から少し離れた壁際に、渡辺さんと並んで立っていた。 やがて… ガラスの壁の向こうの扉が開き、 二人の警察官に連れられ 刑務所の制服を着た 良幸さんが… 入ってきた。 良幸さんは、私を見て… 壁際の、秀兄さんを見た。 ―その時。 バンッ! 前へ |次へ |
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