《MUMEI》

「すまなかった」

良幸さんが、小声で私に謝った。

そして、顔を上げると…

「責任、取らせてくれ!」
と、大声を出した。

「…責任?」

(何の?)

「お前を『キズモノ』にした、責任だ!

また、一緒になろう!

愛してる…

愛してるんだ!

愛してるんだ!」

「な…」

良幸さんは、徐々に興奮し、立ち上がった。

「座りなさい!」

警察官に言われても、

「愛してるんだ!」

…押さえつけられながら、叫び続ける。

「私は……ない」

「え…?」

私の言葉に、良幸さんは、ヘナヘナと、力無く椅子に座った。

「し…ほ…?」


「私は、愛してない」


私の声が、部屋の中に、響いた。

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