《MUMEI》 「…」 良幸さんは、私の言葉を聞いて、無言でうつ向いていた。 顔を上げた良幸さんは… 笑っていた。 そして、… 大声で、笑い出した。 私も含めて、部屋にいる人間全て、 『気味が悪い』 そう、感じるような、笑い声だった。 「何が、おかしい?」 口を開いたのは、秀兄さんだった。 「だって!」 良幸さんは、おかしくてしょうがないと言うように、私を指差した。 「この、顔で!この体で!俺以外の誰がこの女を愛してやれるって言うんだ! せっかく、『正しい妻』に『調教』し直すチャンスをやったって言うのに! いいさ! 俺が傷付けた顔と体で、一生誰にも相手にされずに生きていけ!」 そう、言い放つと、良幸さんは、立ち上がり… 「行きましょう、病院に。 『調教』癖は治るとは思えないけど、刑務所よりは、環境いいみたいで、実は最初から行きたかったんです」 警察官に、笑顔を振り撒いた。 「ちょっと待て! お前、治療嫌だって! 彼女に最後に会えたら受けるからって、そう、俺に言ったよな!」 渡辺さんが、面会室を出て行こうとする良幸さんに向かって叫んだ。 前へ |次へ |
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