《MUMEI》 「言いましたよ、会えなかったら、仲村を呼び出せって」 良幸さんは、あっさり認めた。 「そうしたら、志穂に会えるでしょう? でも、ガタガタ震えて俺の言うことだけ聞く志穂じゃなきゃ、興味無いんです。 そんな志穂なら、また、結婚しても、いいかなって思ったけど、 この志穂は… いらない」 『いらない』 まるで、私を『モノ』としか、考えていない良幸さんの発言に… 渡辺さんと 秀兄さんの 拳が震えていた。 私は、そんな良幸さんに、一言、言った― 「さよなら」 と。 良幸さんは、笑っていた。 私は― 一人では、生きていかない。 好きな人が 慎君が 好きな人と 祐希君と 幸せになる為に、 ずっと、一緒にいて …協力する そう、誓ったのだ。 私は、しっかりとした足取りで、面会室を出た。 前へ |次へ |
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