《MUMEI》

「ふじた……あ、お取り込み中?」

俺が行く前に佐藤がから来てくれた。

俺はというとなんだか訳も分からず涙が溢れてしまい、木下先輩に抱きしめられていた。

「……違ッ、先輩有難うございます!」

佐藤が早足で遠ざかって行く。



中坊の頃、佐藤の手が離れてくあの瞬間、
佐藤と離れて俺はまた佐藤に繋がれた。


純粋に佐藤と友達になりたくて、純粋に恋した。


キスは弁明しない。
問題はそのあとだ。

友情も恋も求めた俺の業が佐藤を苦しめた。

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