《MUMEI》

「好きで堪んないんだろ?そうじゃなきゃ、こんな恥ずかしいことになんねーもんな?」

昭一郎の内腿の付け根が弱いのは知っている。
前を舐めて、後ろを指で引っ掛ける。
二回目ともなれば何処を攻めればいいかくらいは自然と分かる。

なるべく俺が此処に存在していると誇示させながら、昭一郎をなじった。

罪悪感と凌辱でいっぱいにして昭一郎を追い込む。



まるでいないかのように無関心な態度をとられるよりは憎まれていた方がいい。



俺は昭一郎を見ているのに昭一郎は俺を見ないことが気に入らない。

レイと付き合ったのだって俺のことを考えてないからだ。






あんなにガキの頃は俺に優しかったくせに。

あの優しかった昭一郎に俺は幾度憧れたか。
俺はこんなこと昭一郎としたくなかったはずなのに。

「…………帰る」

縛っていた手を口を解いてやる。

今度は殴られるだけで済まないと思ったのに何もなかった。


後から気が付いた。





俺は泣いてた。

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