《MUMEI》 「おい!!」 ベッドでボーっとしてるおれ…蓬田に、声を掛ける。 蓬田は、一瞬ビクッとすると、おれを見た。 おれはベッドに近づく。 「…椎名くん…??」 蓬田が、つぶやく。 「あ??」 おれが応えると、 「…これ」 そう言って、蓬田は右腕を持ち上げた。 「―…私を庇って、くれたの…??」 そう言って、おれを見つめる。 …おれが女言葉で、おれに話しかけてる… なんか気まずくなって、 おれは、俯きながら答える。 「…とっさのことだったから―… あんま、覚えて、ねー…」 ―別に庇ったとか、そんなつもりはなかった。 「…そっか」 蓬田は小さく微笑むと、 そっか、ともう一度繰り返した。 静かな時間が流れる。 「…あのさ、ネコ―…」 そう言いながらおれが顔を上げると、 蓬田が吹き出した。 「…へ??なにが―…」 …なにが、可笑しいんだ?? おれが困惑してると、 「…だって、椎名くんがそんなにネコのこと心配するなんて意外で―…」 蓬田は、くすくすと笑いながらそう言った。 …笑うのかよ。 ―…だって、 命張るくらい好きなんだろ、ネコ。 前へ |次へ |
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