《MUMEI》
今後 〈私〉
これから、どうすればいいんだろう―…



物思いにふけっていると、



「おい!!」



いきなり私の声が聞こえて、
体が一瞬浮いてしまった。



病室の入り口を振り返ると、
そこには私…椎名くんが、いた。


無言でこっちに歩いてくる椎名くん。



「…椎名くん…??」



声を掛けると、



「あ??」



ぶっきらぼうな声が返ってきた。



「…これ」



私は包帯をした腕を持ち上げてみせる。



「―…私を庇って、くれたの…??」



そう訊いて、椎名くんを見上げると



「…とっさのことだったから―…
あんま、覚えて、ねー…」



ぼそぼそと言うと、椎名くんは俯いてしまった。



その表情がなんだか子どもみたいで、



私の中の椎名くんのイメージと、

あまりにも不釣合いで、


なぜだか分からないけど、ほっとした。



ネコのことも、心配そうに訊いてきてくれて…



椎名くんのイメージは、
私の想像とだいぶ違ってて、





―笑ってしまった。

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