《MUMEI》 「よし、じゃあ… もう一回同じことすれば戻るかもしんねえんだな!!?」 いやいやいや!!! だめだよ、死んじゃうよ!!? 椎名くんが突拍子もないことを言い出したので、 慌てて首を振った。 反論する私に、 「…でも、じゃあどーすればいんだよ??」 困った顔で聞き返す椎名くん。 …どうすればいいんだろう… 私は、シーツの端をぎゅっ、と握り締めた。 ―気休めでしかない。 「…わからない。でも…」 ―それでも… 「でも??」 それでも、こんなことしか言えない―… 「…これから、いろいろ探すことはできるよ!!」 ―今は、ただ、笑うことしか―… 「…そんな簡単に―…」 言いかけて途切れた椎名くんの言葉は、 薄暗闇の病室の壁に吸い込まれて、 消えていった。 前へ |次へ |
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