《MUMEI》

「本当に、ありがとうございました…!!」



ママは、深々と頭を下げると、
持っていた紙袋を差し出した。



「…これ、ほんの気持ちだけど…」



…甘味屋の、お菓子の詰め合わせ!!!



「ありがとうございます!!!」



やったー!!!



「もしかして、甘味屋のお菓子、好き??」


「…そりゃーもう!!!」



私が意気揚々と答えると、



「…そう、あの子も―…かなめも、
そこのお菓子大好きなのよ」



と、ママはにっこり笑った。


…だって、中身私だもん…



少し、寂しくなって俯くと、



「…で、あの〜…訊いてもいいかしら??」



ママが、もじもじとしだした。



「…なんですか??」



訊くと、



「…あの、かなめと…もしかして、
お付き合い…とか??」



と、嬉しそうに訊いてきた。


何言ってんの!!!??



「…なッ…!!ちが…!!!」



慌てて答える。



「…なんだ…ちがうの…」



明らかにがっかりしてる…



「…ものすごくタイプだったのに…」



―…確かに、この顔はママのタイプだと思うけど…



―…って!!


ママ、何ポロっと言っちゃってんのよ!!



…椎名くんって、マダムキラー…??

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