《MUMEI》
携帯 〈私〉
いきなり、顔近づけてくるから…
びっくりして頭打ってしまった。


いや、相手は私の顔なんだけど、

なんとなく…



「ほんとに大丈夫かよー??」



半分呆れたような顔で椎名くんは手を差し出した。



その手に引き起こしてもらう。



あーあ。



なにやってんだろ…



―…携帯には、【青木祥子】からのメールが、いっぱい届いてた。


親友の、祥ちゃん。



他にも、たくさんの友達の名前。



そして―…



差出人名の中に
【西城先輩】の文字を見つけたとき



私の胸は、高鳴った。



嬉しくて、涙が出そうになった。




…西城先輩は、私の片想いの相手。


バンドでギターを弾いてて、
すごくカッコよくて、優しくて。



女の子からも人気があって…


去年の文化祭で、初めて先輩を見て、
先輩の演奏を聴いたときにはもう、



私は、恋に落ちていた。



どうにか頑張って、先輩とメールできるようになって…


やっと、今度の日曜日のお祭りに誘ってもらったのに…




私は、しっかりと『男の子』な自分の掌を見つめた。



―…また、泣きたくなった。

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