《MUMEI》
視線の先
「佐藤……俺、中学のときから知ってたんだ」

藤田が息を切らしながら俺に追い付く。廊下の壁際に張り付いて俺を恐る恐る見ながら目を合わせないようにしている。

「……初耳。」

知ってた?いつ会ったんだろう。

「言わなかった、言えなかったんだ。


両親が離婚してから姓が変わって、藤田になった。」

「じゃあ前は?」

どんな苗字?




「……夏川は、元気か?」

何故夏川が出るんだ?
藤田はそっと指をに触れて、止めた。

手の形が握手だ。




「…………平高?」

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