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《MUMEI》 慎君と祐希君が、缶をどんどん開けていく。 二人が饒舌になり、私はお茶だが、そこに便乗したから、三人の会話は自然な感じで弾んでいった。 話題の中心は、私の家族についてだった。 「それにしても、久しぶりに会った秀先輩がスキンヘッドになってたのには、驚いたよ」 「あれね、料理に髪の毛が入ると困るからって理由みたい」 「ハァ〜、すごいな」 慎君が感心していると… 「それより、高山兄妹パワーが凄かった」 と、隣で祐希君が呟いた。 慎君もウンウンと大きく頷いた。 (強引だからな〜) 「ごめんね、皆悪気は無いんだけど…」 私が、頭を下げると… 「あのさ…もしかして、両親もあんな感じ?」 と祐希君が質問してきた。 慎君は、恐る恐る私の答えを待っているように見えた。 「う〜ん。…お父さんは、普通かな?…でも…お母さんは、もっと凄いかも」 「「もっと?！」」 慎君と祐希君が、同時に驚いた。 「どう、凄いの?」 祐希君は、更に質問してきた。 (どう…) 私は、説明に困った。 一言では、…難しい。 「いろいろ。まぁ、来年の春には会えるわよ」 『来年の春』 それは、『お試し期間』の終わりだった。 前へ |次へ |
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