《MUMEI》

―下校中

…全く一葉は。

考えてる事、悩んでる事、一切口にしない。

昔からそうだ。

誰かが気付くまで何も喋らない。


『何怒ってんの?』

「怒ってないよ。」

『怒ってんじゃん。』

「…だとしたら、自分に。」

『はぁ…何それ。』

「別に。…今は立ち止まってるだけ。これから良くするから。」

『一人で出来るもんなの?てか…んー、一人でなきゃダメなの?』

「…ん?えーと…あたしが勝手にそうしたいだけだから…」

『言ってみなよ。』

「いいの!別にみんなに迷惑かけたい訳じゃないから!」

『またそれだ…。』


ほんっと頑固。

柔軟性はピカイチなんだけど、どっか頑固なんだよね。


『そのまま一人で脹れっ面されててもこっちが迷惑なんだけど。』

「え?!あ〜…そうだよね…。ごめんなさい…。」


そして単純。


『謝らなくていいんだってば(笑)…あのね、一緒に解決しようって言ってるつもりなんだけど。』

「…さつきぃ〜(泣)」



同じクラスに居る井上葉子。

本人にも問題があるのはわかるけど、クラスの雰囲気もそうさせない物があるから、本当は良い子だって事をなんとかみんなに分かって欲しいと。

それで体育祭がチャンスだと思ってたのに、上手く行かなくて…。


『…そういうのって、あんたが言うような分かって欲しい相手にも話をしなきゃなんじゃないの?よくもまあ一人で抱え込んだもんだ。』

「いや…あたしが言うより、みんなが気付く事に意味があるかな…と思って…。」

『ふ〜ん…なるほどね。それはあるわ。』

「でしょ?!だからまず練習に来てくれるように声掛けたんだけど…ダメでした。」

『なら、明日あたしが声掛ける。』

「ホント?!でもいいの?喋った事なくない?」

『確かにね〜。みんなもなんで一葉が葉子ちゃんと喋ってるのか、不思議がってたよ。」

「げ…やっぱり…。」

『まあ一葉が言う相手なら良い子なんだと思うし、まかせろ。』

「ありがとうさつき!!あたし濡れちゃう!♪」

『うざ(笑)』

「すっきりしたら喉渇いた♪自販機でなんか買って来る!さつきは○〜いお茶だよね?」
(某人気緑茶より)

『うん、ありがと♪』



そう言うと、一葉は駆け足で自販機へ向かった。


まだあたしの話、終わってないんだけどね。

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