《MUMEI》

「マジでか?
だって、雰囲気とかっ……俺全然気付かなかったし…………」

動揺している。
そりゃ、するよな。

「これは、イメチェンってやつ?」

髪の色や服装も正した。
背も伸びて、話し方も、苗字も変えて藤田になった。

「チェンジ過ぎだ。
つか、なんだろ……なんで言わなかったの?」

佐藤はまだ落ち着かないようで眼球がひくひく瞬きと共に上下に反応している。

「……俺、お前を一人占めしている夏川が羨ましかった。
佐藤の隣に居たくて、そのためのことばっか考えた。
俺じゃ近付けないのは分かっている。
それならせめて佐藤の隣に居たかった。」

俺が夏川の代わりになればいいなんて思った。

玩具を取られたくないガキみたいに……独占欲が働いたのだ。

「なんか、勘違いしてないか?
夏川は夏川で、お前はお前だ。それ以上でも以下でもねーよ!」

佐藤が言うことは難しい。

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