《MUMEI》 エリちゃんが俺を誘ってくれた…… もしかして… ひょっとすると… 脈があるのかな…? 俺はそんな淡い期待に心を踊らせた。 俺とエリちゃんは、たわいも無い会話をしながら、暗い夜道を肩を並べて歩いた。 彼女は自転車を押しながら、時々俺の方を向いて笑いかけてくれた。 街路灯に照らされた彼女の笑顔は、どんなグラビアアイドルなんかより眩しかった。 俺はドキドキしながらも、彼女に気付かれないよう必死に緊張をごまかした。 その時ふいに夜風が彼女の髪の香りを俺の鼻先まで運んでくれた。 いい匂いだなー…このまま時間が止まってくれたらいいのに…。 俺はそんなことを考えながら歩いていた。 だけどそんな俺の願いも虚しく、俺とエリちゃんの帰り道が別れる交差点が近づいてきたんだ。 前へ |次へ |
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