《MUMEI》 ―公園 …これでだいたい一葉の悩みは解決したかな? 「相変わらずぺちゃんこだね〜。」 『うん。』 この子の頭ん中から余計な物は取り除いたろうし… 「でもおいしいね♪」 『うん。』 いいかな、聞いても。 「でも、初めてこれ見た日はびっくりしたよ。」 『あんたあっちのしか食べた事なかったもんね。』 でも一葉の頭ん中、未知数だしな。 「そうそう、だって遠いし。中学入って初めて食べた。」 『ちなみにあっち、ローカルだから。』 …どうやって切り出したらいいだろう。 「そうなの?!あんなにいっぱいあるし、あんなに美味しいのに…。」 『やっぱり知らなかったんだ…。』 公園に呼んだのだって意味があるんだよね。 「なんで全国展開しないんだろ〜。」 『…とりあえず、あっち基準にしちゃダメ。』 …よし。 「は〜…」 『あのさ。』 「い?」 『昔…小学生の時、この公園であった事覚えてる?』 「ん〜…あり過ぎじゃん、よく遊んだよね♪」 『うん、そうなんだけど。2年生の時、学童からの帰りにあった事、覚えてない?』 「え…。なんだろう…ね?」 "あり過ぎ"ねぇ…。 『もういい、あんたこう言ったの。"大丈夫、何もいないよ"って。』 「…。」 『あれって何?』 「…そんな事あったっけ?はは…。」 覚えてないの?それとも誤魔化してんの? 『あたしあの時も変な物見た気がしたの。でも一葉があれを言ったら、消えたんだよね。』 「…。」 …間違いなく覚えてるな。 『ほら、ちょーどそこの砂場んとこ。』 「…あー、あの時…かな?よく覚えてないけど…。」 髪弄ってる。嘘が下手過ぎ。 『どうしてなの?一葉にも見えたの?』 「いや…見えたって言うか…見えてはいないけど…。」 『けど、何?』 「…さつきがまた何か言い出しそうな気がしたから、当てずっぽうでねっ!へへ♪」 キョドり過ぎ。 『…じゃあ、あの時、物置。"篠崎は大丈夫だから"って、何?』 「あれは…。」 『あれは?』 「…ほら、前からあそこ危なかったじゃん!いつかああなると思ってたんだ〜。だから、篠崎に知らせに、ね♪」 ふ〜ん。 でも、すっきりしないから言わせてもらお。 あたしは立ち上がってすぐそこにある砂場へと歩き、ベンチに腰掛けている一葉に向かって言った。 『…一葉は何かを「見て」るんじゃない?あたしのとは別の…何か。』 前へ |次へ |
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