《MUMEI》 長い夜脱衣所に着いた私は、一応、入口の鍵を閉めた。 ここの鍵は、私の部屋の机の引き出しの中に入っている一本だけで、スペアはない。 ちなみに、脱衣所と言っても、洗面所と洗濯場を兼ねているから、中に、洗面台と、洗濯乾燥機がある。 私は、バスルームに続く扉を開けると、湯船にお湯を入れ始めた。 冷え性の私は、シャワーだけではなく、必ず湯船に浸かる。 だから、一人暮らしでも、ユニットバスだけは嫌だった。 ちなみに、病院でも入浴はできたが、短時間だったので、ゆっくり入るのは、一ヶ月ぶりだった。 (さて…) 私は、洗面台の鏡の前に移動した。 そして 覚悟を決めて… そっと 左頬の絆創膏を 剥がした。 前へ |次へ |
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