《MUMEI》 元々暴力は、二人で春に県外のアパートに引っ越してからは、日常茶飯事だったが… 最初の『傷』が付いたのは、夏だった。 良幸さんの職場で暑気払い(飲み会)があり、私は一人で留守番をしていた。 ほろ酔いの良幸さんを、良幸さんの同僚が、アパートまで送り届けてくれた。 「ありがとうございました」 私がお礼を言うと、 「いえいえ。 それにしても、相変わらず若くて美人な奥さんだな、おい」 その人は、笑顔でそう言って私を見た後、軽く隣の良幸さんを肩をつついた。 良幸さんは、苦笑しただけだった。 ―その時は。 バタンッ! 「ちょ、今、夜中…痛っ!」 良幸さんは、乱暴に玄関のドアを閉めると、私の手首を掴んだ。 「…そうだ。だから、静かにしろ」 良幸さんはそう言って、 … 私を、寝室に引っ張っていった。 前へ |次へ |
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