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《MUMEI》 「よう、お疲れさん」 台所で宴会に使った食器を洗っている私に、客室から出てきた祐希君が声をかけてきた。 「慎君は?」 「寝たよ」 「…そう」 (良かった) 寝るには早い時間帯に思えたが、あまり深くは考えない事にした。 最後に箸を洗い終えた私は、手を洗い、水を止めた。 そして、祐希君の方に顔を向ける。 … 祐希君は、軽く汗をかいていた。 …食事中には、かいていなかった、汗を。 (やっぱり…) 慎君と、『ナニ』したのだろうか。 そんな事を考えている私の顔を、祐希君は見つめていた。 …私の左頬の傷跡を、見ているようだった。 「…あ、シャワー、借りていいか?」 「…どうぞ。脱衣所にタオルあるから、どれでも使って」 「サンキュー」 気まずい雰囲気の中、祐希君はバスルームに向かっていった。 ちなみに、私は、さっき上がる時に、湯船のお湯を捨て、バスルームも軽く洗っておいた。 前へ |次へ |
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