《MUMEI》
手までは伸ばせない
「どうしたの国雄。」

雨がずぶ濡れにする頃にはすっかり涙も枯れ果てていた。

「レイ、支えてくれよ……」

情けない、最後はレイか。
しかし、レイは嫌な顔一つしないで抱きしめてくれる。
部屋に入れてタオルを渡してくれるし、温かい飲み物までかいがいしく世話をしてくれる。

それを勿論知っていてやってきた。

最低な男だ。

レイは俺が話すまで自分の生活リズムを崩さない。洗濯物をたたんだり、洗い物をしたり、なすべきことをこなしてゆく。

そんな当たり前の動作に癒された。



俺のだらし無さも筋金入りで、セックス出来ないと公言仕切れない意地からレイの部屋に半同棲状態だった。

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