《MUMEI》 広げたままの傘を下に向けて、だるそうにそれを前後に揺らしながら、のろのろと彼は僕の前を歩いていた。 彼の綺麗にアイロン掛けされた制服の白いシャツの背中部分が、汗で濡れて少し透けている。 今みたいな梅雨時期には湿気も多く汗もかきやすい。シャツが濡れてしまっても仕方がないことだ。 だけど何故だろう。僕は彼の透けたシャツから見える背中を、例え通りすがりの見知らぬ他人にさえも見せたくはなかった。 こんな風に僕が思っていることに、彼は気付いているのだろうか。 次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |