《MUMEI》
「ねぇ」
彼がほんの少し高めの声で僕に声をかけた。
「君の“それ”は、錯覚だよ」
“それ”――?
「君の心臓が鼓動を早めることはないし、君の顔が熱くなることもない」
なぜ――?
「君はもう、“この世”の人ではないからさ」
《了》
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