《MUMEI》
後退
「防御、急げ!!」
魔力の流れを感知したロゼが号令を下すと同時、一斉に「アーズィ・バイト」が襲い掛かる。
各々が盾で防いだり、強引に突破し、「アーズィ・バイト」を抜けそのままコーリア軍と乱戦となる。

コーリア軍の先頭に立つギリスは手にした銃を掃射しながらロゼの姿を探す。
「雑魚に用は無いんだよ!!」
掃射される弾丸は棒状の矢に近い。
近衛騎士団の防御結界を無視して鎧や盾に突き刺さる。だが、弾丸自体が小さく貫通力を重視している為か致命傷には至らない・・当たり所が悪くなければ。
「貴様!!」
斬りかかって来る近衛騎士の頭部に数発を速射で叩き込むと次の獲物を探すかのように周囲を睥睨する。

乱戦の最中、上空に数発の信号弾が打ちあがる。
「・・敵方の増援、仕方ありませんね。」
信号弾が上がった方角から一斉に声が上がり、コーリアの旗を掲げた部隊が突撃してくる。
「信号手!赤を!!この程度ならば・・」
声を上げながら長剣で確実にコーリアの兵を斬り倒していく。
数で劣っているはずの近衛騎士団だが、一人一人の技量が違う。この程度の数ならば、十分に勝てるはずだった。
「陛下!後方からも敵軍!!」
乱戦が続く最中、コーリア軍には次々と増援が来るため、包囲されるような状況となってきている。
「正確な数を把握してなかったとは言えコレでは・・右翼を抜け」  「陛下!!上に・・」
側に居た騎士に数十発の棒状の物が突き刺さる。
「見つけたぜ!!」
ギリスが叫ぶと同時、3メートルほどの高さに魔法陣が展開される。
直上に現れたのは転移の魔法陣・・ソコから現れるのはコーリア軍。
転移が終わると、そのまま重力に引かれ落ちてくる、槍の穂先を下に、近衛騎士団に向けて。
咄嗟の事に反応できた者もそのまま槍に貫かれ、その場に倒れていく。
魔法によるコーリアの増援はロゼを囲むように現れた。
「そいつは俺のだ!!手を出すんじゃねぇよ!!」
ギリスが怒鳴りながらロゼに向かって銃を放つ。
ギィン!!
「全軍後退せよ!!後退せよ!!」
長剣で弾きながら大声をあげるロゼ。
その声に応じて後退をする者は数百騎。残存騎士の内半数以上が命令を聞ける状態ではないのか後退を始めない。
ギリスの放つ銃弾を避けながら、襲い掛かってくる者を斬り伏せ、あるいは盾にしながらロゼは後退を命じ自身も後退を始める。
「お前等、邪魔だ!!」
ギリスはロゼを追いながら、味方であるはずのコーリア兵を蹴り飛ばす。
ドン!!ドンドン!!
連続で撃ち込まれる銃弾を防ぎながら後退していく。

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