《MUMEI》 「…じゃ、俺、寝るわ。その、悪かったな…いろいろ」 祐希君がもう一度、謝ったので、私は… 「…忘れてあげるわ。そのかわり、今夜の事は、慎君には、秘密にしてね」 と答え、唇に人差し指を当てながら、笑った。 「あぁ、おやすみ」 祐希君はそう言って、頷いた。 「おやすみなさい」 (疲れた…) 私は、自分の部屋に行こうと思ったが、ふと、用事を思い出し、脱衣所に向かった。 (多分、大丈夫だと思うけれど) 慎君が明日の朝、シャワーを浴びた時に使うタオルの上に、私はそっとメモを置いた。 『きちんと洋服を着てから、脱衣所を出て下さい』 ―と。 それから 洗濯乾燥機のふたに、 『脱いだ衣類はこの中に入れて下さい』 というメモも、一応貼っておいた。 (これで、よし) 私は、今度こそ、自分の部屋に向かった。 途中で私は、キッチンに寄って冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを一本取り出して、持っていった。 前へ |次へ |
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