《MUMEI》
取引、黄金の剣を抱く
ズドォォォン!!
ロゼの後方で爆発が生じ、後退中だった近衛騎士団を吹き飛ばす。
爆発で開いた空間に雪崩れ込む部隊が掲げているのは当然のようにコーリアの物。
「ネスフェリン皇国、ロゼ皇帝ですね?武器を捨て、降伏を。」
完全に包囲される状況となったロゼに対する降伏勧告を告げる声。
コーリア軍は攻撃を止め、ロゼの返答を待っている。
ロゼの周囲に居る近衛騎士は数十。周囲を囲むコーリア軍は数千。
「私の名はアルトレア・カストゥス。この軍を指揮しているものです。」
新たに現れた軍、整然と並ぶ白銀の甲冑。掲げられているのはコーリア教の旗と青地に黄金の剣を抱く戦乙女が描かれた旗。
その部隊を後方に、ロゼ達に向かってアルトレアと名乗った騎士が歩いて近づいてくる。
「・・・それはできません。」
ロゼが静かにだが良く通る声で答える。
「これ以上被害を出したくないのですが、仕方ありません。」
「被害を出したくないと言うのは賛成です、ですが・・私は生きて捕虜にはなれません。」
「では、どうしろと?」
ロゼに対し質問をするアルトレア。
「・・私と一騎打ちをして頂けませんか?」
突然の言葉に周囲の近衛騎士が慌てるがそれを片手で制し、アルトレアを見つめる。
「勝てば見逃せ・・と?」
「いえ、見逃せとは言いません。」
剣を構え直すロゼ。
「・・それはどういう意味でしょうか?」
「まだ戦える身であるにも関わらず剣を置く訳にもいきません。ですが貴女方が私を見逃す事はできないでしょう。」
意図に気づいたのか頷く。
「貴女が死ぬまで一騎打ちを続けるという事ですか?」
「大型の攻撃魔法を使わなければ周囲への被害も無く、挑んで来る方と私のどちらかしか死にはません。無理は承知でお願いします。この提案・・受け入れては頂けませんか?」
「こちらが勝てる者が居ないと判断し、全軍で貴女を殺しにかかる可能性もありますが?」
「・・腕に覚えがある者が一人も居ないわけでは無いでしょう?」
クスリと何処か含みのある笑みを見せるロゼ。
「・・・・良いでしょう。その提案を受け入れ、一騎打ちをし、貴女が敗れた後、我々はこの地より撤退する事をここに誓いましょう。」
「・・感謝します。」
剣を収めるロゼ。

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