《MUMEI》
友達
〜涼哉の視点〜
 友祥この頃、元気ないよな。俺だけかな、そう思うのは。
「なぁ、友祥・・何かあった?」
「何かって?」
働き者の友祥はハードルを並べながら言う。
「いや、この頃元気ないからさ。何かあったら俺に言えよ」
「何かあったら、言ってるよ。俺等、ダチだろ?」
友祥が笑った。
 元気そうで良かった。
「涼哉、俺さ・・・・・・・・・」
「ん?」
「なんでもないや」
「本当に?」
「あぁ」
「何かあったら、俺の胸に飛んで来い」
「ウェー。マジ吐くよ。つか、俺とべねーし。お前の胸なんかに行くかー!!」
「どうぞこちらです」
「はいはいって、行くか、あほ!!」
「どうぞ」
「行かねー」

 なぁ、何でこのとき、言ってくれなかったんだろ。俺ってそんなに頼りないかな?
 ごめん、友祥・・・俺何にも気付いてあげられなかったんだな―。




〜友祥の視点〜
 毎日学校に行く度、いじめがヒートアップしていく。体育館倉庫に閉じ込められた事もあった。
「つか、何で生きてんの?」
 そう聞かれたとき、俺も謎に思った。
 なぜ人間は生きているのだろうか。そして、なぜ人を傷つけるのだろうかと。


「大沢死ねよ」
 屋上に呼び出された。
 15人くらいの集団で俺を殴った。死にたかった。半分以上が死んでいた。涙なんか出なかった。

 そいつ等が帰った後、俺は苦しくなった。体も痛かったけど・・・・精神的に追い詰められた。
「ごめん・・疲れちゃった・・ごめんね・・さようなら・・心配かけてごめん・・僕は逝きます」
俺は・・・・屋上の柵に上った。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫