《MUMEI》

コンコンッ

小さくノックをして、



「おはよう」

私は、部屋に入った。

ドラマのように…
ベッドで裸で寝ていたら、どうしようかと思っていたが…

一応、二人は、服を着ていた。

慎君は、シャワーを浴びたらしく、髪が濡れていた。
(良かった)

私のメモ書き通り、きちんと洋服を着てくれていた。
問題は…

「祐希?おい!何寝ぼけてるんだ?!」
「そんなんじゃないも〜ん」

嫌がる慎君の体に、頬擦りする、祐希、君、だ。

立っている慎君の、腰のあたりに、立ち膝状態の祐希君はベッタリとしがみついていた。

トントン

私は祐希君の後ろにまわりこみ、肩を叩いてみた。

ところが…

祐希君は、それを無視した。

(この…)

そこで、私は

「今度こそ、蹴り、いる?」

と、祐希君の耳元で囁いた。

『どこに』かは、言わなくても伝わったらしい。

祐希君は、恐る恐る私の方を振り返った。

「そこまでにしといてね。朝食冷めるから、早く食べましょう、ね?」

私は、ニッコリと微笑んだ。

…きっと目は笑っていなかったと思う。

「…は、はい」

祐希君は、一気に目が覚めたようだった。

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