《MUMEI》

「…おはよう」

洗面所で身支度を整えた祐希君が、ダイニングキッチンのテーブル席に着いた。
時刻は、午前七時になっていた。

「「おはよう」」
既に座っていた私と慎君は、同時に祐希君に挨拶した。
テーブルの上には、私が用意した純和風の朝食が並んでいた。

「「「いただきます」」」
三人揃って挨拶をして、食べ始める。

(良かった)

慎君は、おいしそうに食べてくれている。

安心した私は、いつものペースで黙々と食べていた。
ただ…

祐希君だけが、なかなか箸が進まないようだった。

「祐希?お前、こういう朝飯好きだろ?」
「あぁ…」

祐希君は、慎君に促され、味噌汁を口に運ぶ。

「うまいよ」

そう言うが、…またすぐに箸が止まる。

私の料理は食べたくないのだろうかと、不安になった。

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