《MUMEI》
いつも通りにする為に
翌日、すぐに楓さんが私のマンションを訪れた。

「すみません、突然」
「いいのよ。訊かれると思ってたし」

謝る私に、楓さんは笑顔で答えた。

そして、持ってきた『道具』を取り出した。

「最近は、肌に刺激を与えないタイプのが、たくさんあるし、これくらいなら、うまく隠せるから、大丈夫よ」

そして、私の顔のメイクを始めた。

今、私は絆創膏をしていない。

私が、やらなければ、ならない事。

それは…

次に、慎君に会う時までに。

傷跡を、少しでも目立たなくするメイクを勉強する事だった。

「…どう?」
「すごい、です」

楓さんのメイクに、私はただただ感心した。

そして

楓さんの熱心な指導で

何とか、メイク方法を、その日のうちに覚える事ができた。

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