《MUMEI》

(そろそろ、貴子ちゃん来るかな?)

私は、コートを着た。

そして、赤いリボンが付いた緑色の封筒を、ポケットに閉まった。

―その時。

私の携帯に、貴子ちゃんからのメールが届いた。

『駐車場にいるよ』

私は、携帯を確認すると、戸締まりをして、駐車場に向かった。

「ごめんね、忙しいのに」
貴子ちゃんは、普段は龍平さんのショップの経理を担当しているが、三連休は、人手が足りないからと、夕方からは、店頭に出る事になっていた。

「いいわよ!それにしても、男二人でクリスマスなんて、寂しいわね
でも、彼女じゃないから安心か」

「…そうね」

(『彼女』はいないけど、『彼氏』はいるんだけどね)

私は、真実は伝えず、笑顔で答えた。

「じゃ、行きますか」
「うん、お願い」

そして、私達は、祐希君のアパートへ向かった。

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