《MUMEI》

そう言って、私が慎君に差し出した、封筒を…

「お、サンキュー。
ケーキもありがとな」

いつの間にか慎君の背後に来ていた祐希君が、慎君の肩越しに、長い腕を伸ばし、受け取った。

「どういたしまして」

私が笑顔で言うと…

「じゃ、俺からは、これな」

祐希君が、受け取った手とは反対の手に持っていたクリスマスカラーの封筒を、私に手渡した。

ただし、私があげたのとは、色合いが逆で、それは、赤い封筒で、緑のリボンが付いていた。

どうやら、これは祐希君から私への、クリスマスプレゼントのようだった。

それを見て…

慎君が、『しまった』という表情をした。

そして…
「ごめん!俺、何も用意してない!」

と言って、私と祐希君に頭を下げた。

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