《MUMEI》

「違うよ」

私が否定すると、貴子ちゃんのテンションが下がった。

(違うけど…)

祐希君からのプレゼントは、いつか三人で行った遊園地の、二人分の一日パスポートだった。

同封されたカードには、『クリスマスに使え』と書いてあった。

ちなみに…

私からのプレゼントは、二人分の温泉旅館の宿泊券と、新幹線の指定席回数券。
同封したカードには、『年末年始にでも使って』と書いておいた。

『誰と』なんて、お互いわかりきっているから、書く必要は無い。

―つまり。

私と祐希君は、お互い…

『慎君と過ごす時間』

を、プレゼント、したのだ。

だから、私達には、慎君からのプレゼントは必要無かった。

慎君がいるだけで。

―慎君という存在が、何よりの神からの贈り物なのだから。

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