《MUMEI》

「いいですけど…あの…」
「はい?」

(余計なお世話かな…)

迷いつつ、私は、見ていて思った事を説明した。

龍平さんは、何だか驚いたような顔をした。

それから、真剣な表情で…
「どこを入れ替えたらいいと思います?」

と訊かれたので、私は一応、答えた。

すると、龍平さんは、素早く三人の配置換えを行なった。

…私が言った通りに。

私は、プレッシャーを感じつつも、

(これが、普通よね?)

と考えていた。

多分、他の人達は忙し過ぎて、わからなくなっているだけだと、そう、思った。
…それから。

お客様の数は増えたが、スタッフの対応も早くなったので、クレームやトラブルは全く起きなかった。

(すごいな、皆)

私は感心しながら、相変わらずラッピングを続けた。
そして

最後のお客様を全員で(一応私も加えてもらって)お見送りをして、その日の営業を終了した。

「コーヒー入れて来ますね」

ぐったりと座り込む龍平さんと、スタッフ四人、それから、疲れた顔の貴子ちゃんに、私は伝えた。

(そうだ…)

私は、ショップの近くのコンビニでチョコレートを買ってきて、トレイに乗せた。

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