《MUMEI》 ここからは、志穂が裏口からコンビニにダッシュでチョコレートを買いに行った後の事なので、ここだけ客観的文章に変えます。 店内で、ぐったりしていたラッピング担当の女性スタッフが… 「店長、彼女、何者ですか?」 と、呟いた。 「…俺の嫁の姉…」 と、龍平は、上の空で返事をした。 「そういうんじゃなくて! ラッピング、早すぎるし仕上がりプロ並だし、あの人その道のプロですか?!」 女性スタッフは、興奮しながら言った。 「ごめん。あの人、ホテルの清掃パートやってる。 ついでに、何の取り柄も無いとか思ってるから」 「あれで?!」 「うん、あれで」 貴子が説明をしてから、ため息をついた。 久しぶりに、志穂の『本気モード』を間の当たりにし、貴子は、 「ありえない…よ…」 と、呟いた。 驚くほど手先が器用で、ラッピングと、ケーキ作りにかけては、プロ顔負けの、仕上がり。 …それなのに、志穂自身は、『素人の趣味』としか思っていない。 そして、もう一つ。 「貴子から聞いてはいたが、…あれが、…『相手の才能を見抜く才能』、か」 龍平の言葉に、貴子は深く頷いた。 前へ |次へ |
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