《MUMEI》 貴子が経理の仕事をしているのも。 大が医者になったのも。 秀が跡継ぎとして、料理人になったのも。 …全て、志穂の何気ない言葉がきっかけだった。 最初は、志穂が応援してくれるから、やりだした事も、気付けば自分の『天職』になっていた。 高山兄妹の成功を見て、他の親戚も、志穂に助言を求めるようになった。 そして、その全てが… ことごとく、的中していた。 何故わかるかと、誰かが質問すると、 「だって、その人に、才能があるんだもの」 と、志穂は笑いながら言った。 「俺ですら、わからなかったのに…」 その言葉通り、龍平は、忙しくて配置を間違えたのではなく、スタッフの得意分野がわからなかった。 「店長、私もです」 「…俺も」 「同じく」 三人のスタッフは、口々に言った。 「なぁー、貴子。義姉さん、あの特技と才能があれば、それだけで、出世間違いなしだと思うんだけど」 龍平が、首を傾げると、 「無理。自分の才能、気付いてないから」 貴子は、きっぱり言い切った。 「もったいない」×5 貴子以外の全員がそう言った時、当の本人が、コーヒーとチョコレートを乗せたトレイを持ってきた。 前へ |次へ |
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