《MUMEI》
クリスマスイブ
午前中から夕方まで、貴子ちゃんと、龍平さんのショップの手伝いをして。

「「ただいま」」

私達は、実家の玄関を開けた。

「おかえり!」

笑顔で出迎えてくれたのは、エプロン姿の秀兄さんだった。

秀兄さんは中華料理店に勤めているが、学校で和食と西洋料理も学んだから、クリスマス向けの料理も作れる。

「秀兄さん、オーブン、空いてる?」

「あぁ、材料も揃ってる」
私が台所に行くと、きちんと測られた材料と、エプロンが置いてあった。

毎年同じ分量を、秀兄さんは用意してくれていた。

ちなみに…ここに両親が加わると、ケーキが二個になる。

母さんは、ケーキが大好きで、ホールケーキを軽々と一個完食する。

父さんは、味見程度に、一口だけ食べる。

今年は、二人はいないから、ケーキは、一つだけだ。
「じゃあ、作るね」

「あぁ」

私は、台所の一角で、ケーキを作り始めた。

貴子ちゃんは、居間のクリスマスツリーの飾り付けを始めていた。

そして、準備が整った頃。
日勤を終え、シャンパンを抱えた大兄さんが帰ってきた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫