《MUMEI》

そして、私達は、秀兄さんの料理を食べ始めた。

「どうだ、うまいか、志穂」
「うん」

私の言葉に、秀兄さんは満足そうだった。

「相変わらず、志穂大好きだな、お前は」

「兄さんは、楓さんの方が好きなんだろ?」

「楓は、好きだけど、志穂とはまた違う好きだから」
「そうそう。私も、龍平好きだけど、お姉ちゃん好きだもん」

「ありがとう…私も、皆、好きだよ」

私は、普段恥ずかしくてなかなか言えない感謝の言葉を口にした。

三人が、『慎君とどっちが』と訊くのは時間の問題だったので、私は、その場を離れるために、ケーキを取りに行った。

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