《MUMEI》

いつもの待ち合わせ場所に着くと、そこには、何か悩んでいる慎君がいた

「…慎君?」
「うわぁ!」

近くでそっと声をかけると、慎君が大声を上げた。

「ごめんね、お待たせ」
「いや、まだ待ち合わせ五分前だし」

これは、いつもの私達のやり取り。

ただ、ここに、今日は祐希君は、いない。

「良かった。切符買った?」
「これから」

私と慎君は、切符売り場に向かった。

慎君は、いつもと変わらない服装だった。

(恥ずかしい…)

変に気合いを入れてきてしまった私は、慎君の隣にふさわしくない気がした。

今日は、ヒールもいつもより高いし。

やっぱり自分は可愛くないなあと思った。

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