《MUMEI》

あまり慎君が見つめてくるので…

「…? 何? どこか、変?」
恐る恐る、私は自分の服装を確認してみた。

すると、慎君が
「いや、綺麗だよ」
と、珍しく私を褒めてくれたので、私は嬉しくて、顔が赤くなってしまった。

こんな風に私がなるのは、身内以外では、慎君といる時だけだった。

「き、切符買わないとね!」
私は、慎君から目をそらして、目的地までの値段を確認し始めた。

慎君は切符代をおごるつもりでいたようだが、私はそれを断った。

駅のホームで電車を待っている時に、帰りの分はおごると慎君が切り出してきたが…

「いいのよ」
と私は笑顔で断った。

元々、今回の事は、私と祐希君が勝手に決めてしまった事だし。

『友達』なら、割り勘が当たり前だと思った。

実際、三人の時はいつも割り勘だった。

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