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《MUMEI》 「さっきの、…お前か?」 慎君の声が、気配が、すごく近かった。 さっきの… 告白、の事だろうか (どうせ、寝言だと、思うわよね…) 「…ん…」 私は、慎君の声に反応するように、唇を動かしてみた。 …はっきり『うん』とは言えなかった。 すると… 私の唇に、… … 柔らかい、『何か』が当たった。 (…もしかして、これは…) …しかし、私はその可能性を否定した。 (ありえない) 慎君が 私に、… キス、するなんて… しばらくして、私の唇に触れていた『何か』は離れた。 ガタンッ 観覧車が揺れた。 「…あ、ごめん、寝ちゃって…私…」 私は、やっと寝たふりをやめ、ゆっくりと目を開けた。 「いいや！大丈夫！ほら、じき到着だし！」 (二周目の…ね) 私はあえてそれを口にはしなかった。 寝たふりが、バレてしまうから。 挙動不振の慎君に、私はさっきの『何か』確認したかった。 「ひょっとして…」 私の言葉に慎君がギクリとした。 恐る恐る、続きを待っている。 (やっぱりさっきのって…) 私は、確信したが… 前へ |次へ |
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