《MUMEI》

「私、変な寝言とか言った?」

結局私は真剣な表情で、考えていたのとは別の質問をした。

慎君は、笑っていた。

「やっぱり?!」

私は、慌てる『フリ』をしてみた。

実際は寝たふりだから、寝言なんて、聞いているはずはない。

「あぁ、『慎君大好きよ、ずっと』って…」

(まさか、起きてた?)

「…」

思いがけない言葉に、私は無言で耳まで真っ赤になってしまった。

「え、し…」
「おかえりなさいませ」

慎君が話しかけようとすると、係員がドアを開けた。

(逃げよう!)

私は飛び出した。

「お、おい!待てよ!」

慎君が、慌てて追いかけてくる。

いつもの私なら逃げ切れる…はずだった。

しかし、今日、私は、今朝初めて履いたばかりのハイヒールのロングブーツで。

慎君は、履きなれたスニーカーだった。


それに、何故か人混みに紛れても、慎君はまっすぐ私を追ってきた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫