《MUMEI》

遊園地の入口付近でとうとう私は慎君に追い付かれてしまった。

「捕まえた」
「離して…」
走って息が切れていたせいもあり、私は小声で言うだけが精一杯だった。

慎君は、掴んだ手を離してはくれなかった。

「嫌だ、逃げるから。
…さっきの、『大好き』は、どういう意味?」
「別に…」
私は、慎君から目を背けていた。

「じゃあ、そのままでいいから、今から俺が言うことに、イエスかノーかで答えて」
慎君が、ため息を付きながら、提案してきた。

(それくらいなら…)

私は、無言で頷いた。

「…嘘ついたら絶交だからな」

『絶交』という言葉に、私の体はビクッと震えた。

(それは、嫌…)

私は、また無言で頷いた。

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