《MUMEI》

12月31日

大晦日。

「ありがとうございました」

私は今日だけ運転手さんにお願いして、実家の近くまで送ってもらった。

「よいお年を」
「はい。そちらも、よいお年を」

送迎車から降りて、運転手さんと挨拶を交わすと、私は実家に向かった。

(あれ?)

玄関に、立っているのは…
身長は、慎君くらいで

顔は爽やかアイドル系

私より、年下の、男の子。
(もしかして…)

「徹(てつ)、君?」

「そうだよ、久しぶり!」
「キャッ!」

そう言って、五年ぶりに再会した、三つ年下の、アメリカ育ちの従姉妹―

徹君こと、高山徹は、私を抱き締めて、右頬に軽くキスをした。

バリッ

「何をやってんだ、お前は!」

「何って、挨拶」

私から徹君を引き離した鬼のような形相の秀兄さんに、徹君は、天使のような笑顔で答えた。

「ここは日本だ!さっさと中に入れ!」

「は~い」

徹君が慌てて家の中に入っていった。

「まったく。 …おかえり、志穂」

「…ただいま」

秀兄さんが、私に優しく話しかけてきたので、私は笑顔で家に入った。

(そういえば…)

「秀兄さん、サラさん、は?」

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