《MUMEI》 大兄さんがサラッと言った。 「それって…」 楓さんが、目を潤ませた。 「とりあえず、これ」 大兄さんが指輪を取り出して… 楓さんの、右手の薬指に はめた。 …婚約指輪、だ。 「おめでとう」×5 (いいなあ…) 幸せそうな二人を、私は羨ましく思った。 その時、メイファさんが、私の肩を叩いた。 ? メイファさんは、笑顔で… 「大丈夫ですよ。果穂さん、志穂さんのお相手も、ちゃんと探してますから」 と囁いた。 私は、無言で苦笑いをした。 (やっぱり、探してるんだ、母さん) 秀兄さんみたいに、候補が来ないから、安心していたけれど… 確実に、『お試し期間』は、終わりに近付いている。 今日が、終われば… 残りは、三ヶ月。 それまでに、慎君と、 『SEXか、婚約』なんて… (絶対、無理) 私は、絶望的な気持ちで、新年を迎えた。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |