《MUMEI》 「…やっぱり、果穂さんの言った通りの展開だな。 秀さん、ちょっと、こっちへ」 徹君は、絶叫し続ける秀兄さんを手招きして、二人で居間を出ていった。 (…?) ―数分後。 「じゃ、そういう事なんで」 「…手を出したら、殺すからな」 何やら物騒な話をしながら、二人は戻ってきた。 「あれ?志穂、まだ着替えてないの?」 「あ、うん」 私は二人が気になっていたから、まだ振袖のままだった。 「もう大丈夫だから、着替えてきなよ。俺も、荷物とってくる」 「…うん」 (本当に、大丈夫かな?) 私がチラッと秀兄さんを見ると、 「…タクシー呼んどくよ」 そう言って、秀兄さんは電話帳を開き始めた。 ホッとした私は、昔使っていた部屋で、洋服に着替えた。 それから 徹君と二人で、マンションに戻った。 前へ |次へ |
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